2025/7/13-7/19

第93号
上野友之 2025.07.20
誰でも

7月13日(日)

8:30起床。晴れ曇り。

晴れて気温もあがったが、猛暑!という感じではなく、夕方以降は風も出て涼しい。

これくらいでいいんだよ。

図書館で借りた「お金本」読了。

左右社という出版社の「〆切本」などと同シリーズ。

「〆切本」は、日本の明治以降の作家たちがひたすら〆切に悶える文章を集めたアンソロジーで、これには大変勇気づけられた?のだが、

今回はタイトル通りお金の話。

主に貧乏と借金に苦しむ文章を集めていて、かなり笑ってしまった。

人のことを笑える身分では全くないが……。

以下の編集後記、なんか図々しいのにキレてて面白い。

《早稲田文学》編集後記 立原正秋

 五月号の後期に、編集部に冷蔵庫とクーラーを御寄附下さる方はいらっしゃいませんか、と誌したところ、東大出身の方から十万円の寄附がありました。早稲田出身者にはけちな人しかいないのでしょうか。この編集室は盆地にあり、どうしてもクーラーが要るのです。早稲田出身者で十万円を寄附して下さる方はいらっしゃらないでしょうか。
「お金本」

坂口安吾の昭和十一年の手紙。あまりに安吾。

 拝啓
 貴兄から借りたお金返さねばならないと思って要心してゐたのですが、ゆうべ原稿料を受取ると友達と会ひみんな呑んでしまひ、今月お返しできなくなりました。たいへん悲しくなりましたが、どうぞかんべんして下さい。
 小生こんど競馬をやらうかと思つてゐますよ。近況御知らせまで。
同上

7月14日(月)

7:15起床。曇り。

雨予報だったけどほぼ晴れ。

午後は新宿区の健康診断。去年と同じクリニック。先生も看護師さん達も優しい。

どちらかというとファミリー向けの病院なので、いつ行っても赤ちゃんが泣いている。

あとは家でドラマ「デアデビル」やYouTube見てたら終わった。いかん。

7月15日(火)

7:30起床。曇り。

寝起きでだらだらTwitterをスクロールしていたら、昔の知人が亡くなっていたことを知る。

一応演劇界の人だが、自分が演劇を始める前の学生時代のほんの一時期、親しくさせて貰った。

年齢は十歳くらい上だったと思う。

些細なことで疎遠になってしまい、自分が演劇を始めてからもほとんど交流はなかった。

どんな活動をしているかなんとなく伝わってきたが、正直スタンスが違うなと思い関心を向けなかった。

まだ50代。詳しいことはわからないけど病気だったらしい。

追悼できるほどの関係性もなかったが、20歳前後の本当に愚かだった自分が書いた脚本を読み感想をくれたりした人だった。

彼の活動名ではなく本名も知っていた。

ご冥福をお祈りしたい。

アマプラで映画『悪い夏』鑑賞。

7月16日(水)

8:00起床。雨。

「世界の貧困に挑む マイクロファイナンスの可能性」(慎 泰俊)読了。

タイトル通り、主に途上国の貧困対策として「金融包摂」を目指し、民間版の世界銀行を創設した著者が、マイクロファイナンスについて説いた新書。

キャリアに裏打ちされた知性と行動力、スケールの大きさ、何より使命感と徳の高さに圧倒された。

篤志家という言葉が浮かぶ。

 機会の平等は数多くの要素によって構成されているので、金融包摂が達成されれば、世界で機会の平等が実現され、すべての人が貧困から脱出できるということはありえません。
【中略】
 だから、私や他の金融包摂の実務家が取り組んでいるのは、いわゆる「一隅を照らす」ことなのです。この領域で課題解決ができたとしても、完全な機会の平等が実現するわけではありませんが、自分なりに立ち位置を決めて取り組んでいるわけです。
 この「一隅を照らす」という観点に立つと、機会の平等にまつわる諸領域について、ある領域が他の領域より重要だ、と考えることは誤っていることがわかります。たとえば、地球の持続可能性はきわめて重要な問題ですが、それだけに注力して他の領域をなおざりにするわけにはいかないのです。
 「あれかこれか」という考えではなく、「どれも必要」という考えで、国や社会はリソースを分配するべきですし、私たち一人ひとりはそれぞれが自分で決めた領域において仕事に取り組むべきです。そのようにして、社会は進歩するのだと私は信じています。
「世界の貧困に挑む マイクロファイナンスの可能性」(慎 泰俊)

特に凄いなと思ったのが以下の流れ。

営利企業として経営されているマイクロファイナンス機関が貧困削減に貢献できるのかについてより詳しく書いてみます。
【中略】
 多くの第一世代マイクロファイナンス実務家らは、商業資本から出資を受けているマイクロファイナンス事業者が貧困削減に対してもたらすインパクトについて否定的です。なぜなら、そういった事業者は最終的には株主に対する利益が最大化するように事業を行わざるを得ないからです。そうなると、顧客のためになるものの赤字になるような事業には取り組むことが難しくなる、というわけです。
同上

→この問題提起は感覚としてわかる。

というか、多くの「エシカル」な事業と、資本主義とは根本的に対立してしまうと思っていた。

著者のように心ある経営者がいたとしても、自己利益を追求する世界中の株主の心はコントロールしようがない。

文章はこう続く。

 株式会社としてマイクロファイナンス事業を行い、営利企業や投資ファンドから出資を受けてきた私も、この点について10年間ずっと考えてきました。結論としては、営利企業のマイクロファイナンスであっても貧困削減に貢献することは可能であると考えています。
 一言でいうと、「顧客の生活向上に貢献しようとする使命感と進取の気性をもったマイクロファイナンス機関が業界最大手企業になること」が、マイクロファイナンスが貧困削減に貢献しながらも、株主や従業員の期待に応え続けるための条件だと私は考えています。
 第一に必要なのは創業者や経営陣らの使命感です。これまで様々なマイクロファイナンス機関を見てきましたが、使命感がない創業者・経営者が率いている場合、何をどうしても貧困削減に役立つことは難しいと思います。会社は頭から腐るものであり、一度そうなってしまった企業を変革するのは、一から会社をつくるよりも難しい場合が多いです。
【中略】
 そして、右に述べたことを実現するために、そのマイクロファイナンス機関は業界最大手企業になる必要があります。【中略】すなわち、最大手企業は、新規事業の成功に必須となる人材採用がしやすく、難易度の高い新規事業に何度も挑戦する財務的余裕があり、新しいアイデアをアイデアで終わらせず事業化する能力を有しているということです。
 規模に関するこの洞察は、私が世界中の金融機関を観察しながら確信したことでもあります。
同上

→なんという胆力、信念。

著者は同い年……尊敬しかない。

しかも、東京生まれだが現在まで無国籍状態という。朝鮮大学校出身で、ご実家も裕福ではなかったとのこと。

どれだけのハンデで、どうやって乗り越えてきたのか、自分には想像すらできない。

そんな著者の偉業を前に、昨今の排外主義がいかに無意味なことかと思わされる。

夜はさよなら人生ミーティングの予定だったが風雨のため延期。

倉田さんと電話で諸々話す。

ディズニープラスで好評だった「デアデビル:ボーン・アゲイン」を見たく、ドラマ版「デアデビル」Season1から見始めたが長い……。

60分×13話×3Seasonあるし、デアデビルは「ディフェンダーズ・サーガ」なるものに含まれるらしく、全部見ようと思ったら時間が足りない。(MCUの一環だけど、このサーガはノータッチだった。)

MCU、ドラマまではとてもじゃないけど見ていられない。

全部見てる人はいるんだろうか。いるんだろうな。

「デアデビル」自体はSeason2に入って面白くなってきた。

7月17日(木)

7:30起床。曇り晴れ。夜の間に雨は止んだらしい。

6:00には目覚めたが、どうも7時間以上は寝た方が昼間の眠気は抑えられるようで、敢えて二度寝してみた。

某件について図書館で借りた本を読んだりChatGPTと壁打ちしたり……そう簡単にうまくはいかないが何とか形にできないものか。

髪を切って、紀伊國屋書店で「物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために」(難波優輝)、「螺旋墜落」(キャメロン・ウォード/吉野弘人 訳)購入。

7月18日(金)

深夜、何箇所も蚊に刺され痒くて目が覚める。退治のために暫く起きざるをえず。くそ!

7:00起床。晴れ。蚊のせいで6時間くらいの睡眠だが今日はこのまま起きてみる。

30度超予報の晴天でも、朝は風が涼しい。これくらいでいいんだよこれで。

そして関東も梅雨明けの報。

ディズニープラスで映画『アマチュア』鑑賞。

武装集団に妻を殺されたCIAの分析官が、復讐するため訓練を受け、上司たちの追跡をかわしながら犯人たちに迫っていく、というストーリー。

面白くなる要素は多々あり、実際オッとなる場面もあるのだが、いかんせん後半の盛り上がりが無さ過ぎる。

犯人である武装集団を狙いつつ、CIAの悪徳上司からは狙われるという構造も、面白いはずなのに両者の関係が曖昧でわかりづらい。

ローレンス・フィッシュバーン、ジョン・バーンサル、マイケル・スタールバーグら豪華な脇役も見せ場が少ない。

特にジョン・バーンサルは最初と最後にただ出てくるだけでなんの活躍もせず、無駄遣い感しかない。撮影しながら脚本が変わったのか、編集でカットされたのか。

4月の公開時にかなり宣伝されていた印象だけど、洋画が日本上映されない問題が続く中、他の映画を優先した方が良かったのでは、とまで思ってしまった。

相変わらずCIA上層部が出てきたら大体悪役、自国でも他国でも民間人を犠牲にし続ける。

このあたりの描写は、アメリカという国のある種の自浄作用なのか、単なる図々しさなのか、懐の深さ?なのか。

日本のエンタメ、特に映像作品で公的機関を描く際の及び腰や物足りなさとは雲泥の差。

7月19日(土)

8:30起床。晴れ。

某件、具体的なアイディアが固まらないままひとまず企画書だけ作ってみるかと、初めてGammaを使用。

性能とスピードに驚く。

特にイラストをその場でどんどん修正してくれるのは凄い。

修正もテンプレートの選択もキリがないと言えばキリがないのだが。

改めて、もうちょっとAIを触っていこうと思った。

効率化やスピードアップのためでもあるけど、何より面白いかも。

メルカリで使わなくなったワイヤレスキーボードを出品したらすぐに売れた。

初めてのメルカリ発送。

ヤマト営業所に行って出荷。

梱包材さえ用意しておけば、あとは簡単だと知る。

夜は下北沢へ。

高校時代の友人S君と台湾料理。

二人で話すのは半年ぶりくらい。

観に来てくれた公演の感想、忙しい仕事(コンサル)の話、そして今の日本、特に参院選への憂いなど諸々。

やはり他業種の仕事の話は貴重だし、政治についてストレートに意見を共有できる相手というのも有り難い。

お互い健康に気をつけよう、といつもの結論。

友達と飲んで二軒目って全然行かなくなったなあ。

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