2025/1/5-1/11
1月5日(日)
7:30起床。
「日本語の外へ」(片岡義男)読了。
前半のアメリカ論も、後半の日本(語)論も、全ページ付箋をつけたいくらい刺激的だった。
1997年に刊行され、昨年ちくま文庫で復刊された書だが、約30年前の文章が今でも充分にアクチュアル。
先住民たちはきわめて友好的であり、彼らを殺さなければならない理由はなにひとつなかったが、ヨーロッパから来た人たちは先住民を殺戮し、事実上の絶滅にまで追い込んだ。移住してきた人たちが先住民を殺さなければならなかった理由は、価値観が違うという一点だけだった。
すべてを取り込んだ上で、トータルにひとつであるという生のありかたのための場所は、自然環境のただなかにしかあり得ない。細かく小さく分裂した職能のなかで誰もが仕事をし、その結果のトータルが文明となっていくという生のありかたのための場所は、人工的な文明環境のなか以外ではあり得ない。後者を維持し拡大させ、絶えず発展させ前進させていくにあたっての、すべての営為を支える宗教的と言っていい理念ないしは信条のようなもの、それがアメリカのフリーダムだ。建国とそのあとに続いた開拓のなかで、そのフリーダムが先住民と衝突し、そのことが気にくわず、それだけを理由に先住民を絶滅させた事実は、記憶しておいたが方がいい。
おなじフリーダムが冷戦を始め、それを支えた。冷戦の相手は崩壊した。西側をひとつにつないでいたアメリカのフリーダムは、東側が崩壊して混迷をきわめていくことと重なるようにして、消えたと言っていいほどに力を失った。西側もかつての東側も、そして南も、冷戦が続いていたあいだずっと、複雑な問題をさまざまにかかえていた。冷戦という巨大な蓋がかぶさっているあいだは、それらの問題はあたかも存在していないかのように、見えないままだった。冷戦が終結して、その巨大な蓋は取れた。世界があらわになった。それぞれの国益をめぐって、複雑にさまざまに衝突していくほかはない世界という、現実そのものがあらわになった。
日本はアメリカよりもはるかに強く資本の論理で動く社会だ。世のなかや人生は高能率や収益だけではないよ、というアメリカの個人主義に根ざす考えかたは資本論理の突進にブレーキをかけるし、宗教的な制御も強力に効く。なにか問題があれば議論や意見が百出し、プロセスとしても延々と蛇行する。日本では人々は均一の価値観を持ち、教育の程度と質はそろっている。労使の関係は上による下の搾取を主題とした厳密な管理の関係ではなく、収益につながる高能率をともに目的とする同一枠内での協調の関係だ。最大のテーマは能率であり、この能率のために日本語という母国語が最大限にその機能を発揮した。
戦後の日本とアメリカとの関係はじつに奇妙な関係だ。世界史のなかに類例を見ない奇妙な関係、と最近では言われているが。突進していくほかない資本主義がその奔流のただなかで生んだ関係だから、前例はどこにもなくて当然だろう。その奇妙な関係のいちばん外側の枠は、東西冷戦の構造だった。
札幌最終夜。夕食はしゃぶしゃぶと鰻!を頂く。
1月6日(月)
7:30起床。札幌は雪。気温がマイナスでなかったので積もった雪が結構とけてた。
「太陽がいっぱい」(パトリシア・ハイスミス/佐宗鈴夫)読了。
アラン・ドロン版の映画、Netflix版のドラマ(「リプリー」)は見てたが原作は初読。
後者は小説のストーリーラインにかなり忠実に作っていたと知る。
どうしても登場人物がドラマの俳優の顔で浮かんできた。
文庫の印象的な表紙イラストは西山寛紀さん。引っ張りだこのイラストレーターなんだな。
いつかご一緒してみたい。
昼食を食べ両親と別れを告げて新千歳空港へ。遠いんだよね。
空港の温泉に入りマッサージを受け、お土産を買ってチェックイン。
JAL便は満席で搭乗に時間がかかる。
機内では映画も観れるようになっており、『インサイド・ヘッド2』鑑賞。
飛行時間と映画尺がほぼ一緒。気流で揺れる時に、作品の脳内世界も崩れたりしていた。
ラストには涙。好評にも納得。自分の思春期にも観たかったな。
無事に羽田に着陸して今回も生き延びた。
戻ってきた東京は大雨。
バスで新宿まで。あっという間。
帰宅して一息つく。
1月7日(火)
6:30起床。晴れ。
今後のアウトプットについて考える。
夜は一人でいつもの焼鳥屋さんへ。お土産を渡す。
珍しくカウンターに自分しかいなかったので店主さんと色々話せた。
今年も宜しくお願いします。
1月8日(水)
何度寝かして8:30起床。快晴。
notion AIに相談してみたり。
ChatGPTの方が親しみやすいかなあ。
長らく積読だった「田村はまだか」(朝倉かすみ)読了。
夜は行きつけの串揚げ屋さんへ。これまたお土産を渡し、混んでくるまで店主さんと話す。
1月9日(木)
8:00起床。晴れ。
Netflixのドラマ「ミッシング・ユー」1話、面白い。
お手本のようなミステリーの提示。
原作のハーラン・コーベンはかなり有名な作家らしいが知らなかった。
WikiによるとNetflixと複数年の独占契約をしており、数多の小説が映像化されていくらしい。しかも全部製作総指揮。たしかにこれ見ただけでもプロットへの引き込み方がいかにも巧そう。原作読んでみようかな。
1月10日(金)
8:30起床。快晴。寒い。
午後から脚色担当の「木曜日にはココアを」稽古場へ。
初通しを拝見。思ったよりスタッフさんも多く満席。
隣で見ていた青山先生が何度も涙ぐんでいて、もらい泣きしそうになった。
終って青山さんが俳優一人一人に声をかけられ、自分の脚本も改めてお褒め頂き恐縮。
原作執筆時の人物造形など知らなかったこともお聴きできた。
演出の奥谷氏と話そうと待っていたらなんだかんだ夜までいてしまい。
調子に乗って俳優の方々とも色々話してしまい。
楽しかった。
結局ほぼ終電。
1月11日(土)
7:30起床。晴れ。
WEBで公開予定の脚本。
最後の場面を追記するつもりだったが、寧ろその前で終わって良いのではと思い直し、ほぼ作業的な修正になる。
今ごろ年末の紅白をアマプラで最後まで見たり、水ダウの「クロちゃんリアル人生すごろく」回見たり。
人生すごろくの企画よくやるな。何度も一人で手を叩いて笑ってしまった。
読書するつもりがすぐ眠くなってしまい全然読めず。
夜遅めに某演劇企画、WEBデザインなどについてリモート打ち。
まもなく情報公開。
Netflix「イカゲーム」Season2完走。
Season1のようなヒリヒリはなかったし(1の方が俳優の顔や熱量が濃かった)、あの途中で止められなくなるような熱中もしなかった。
が、最終話に向かってじわじわ面白くなり、クリフハンガーで終わった。
Season3への橋渡し的な作りで、超人気シリーズとしての余裕を感じる。
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