2024/8/4-8/10

第44号
上野友之 2024.08.11
誰でも

8月4日(日)

7:00起床。晴れ。

カフェや御苑を梯子して執筆や書き写しや読書など。

執筆はほぼ登場人物名を考えていただけ。それも必要なことと捉えよう。

新宿ピカデリーにて『ツイスターズ』鑑賞。

評判通り面白い。よくできたディザスタームービーであり、娯楽大作。

アメリカ、あの規模の竜巻が日常的に起きてるなら怖いな。気候変動というワードは使わずに警鐘を鳴らしてるのか。

登場人物が基本明るいのもハリウッドな感じだが、最近では逆に新鮮。

ニヤけたグレン・パウエル、共和党的だしマッチョでもあるが、トキシックにもマチズモにもせず、寧ろ好感の持てる人物像にしてるのもなるほどと思った。

このブロックバスター映画が『ミナリ』の監督とは驚いた。プロデューサーのスピルバーグによる人選なのだろうか。

欧米のクリエイターのフックアップの仕方は面白い。クロエ・ジャオにMCUやらせたり、フィービー・ウォーラー=ブリッジに「キリング・イヴ」やらせたり、インディーズな作風の人に思い切りエンタメ大作を撮らせたりする、そしてそれが成功する。

「THE BEAR」Season1から見直し始めた。

8月5日(月)

8:30起床。晴れ。

四谷の休憩所に行き、主に脚色や書き写し。

2年前、福岡の公演に出演してくれた森さんの訃報。まだ25歳。

驚き、ショックだ。

ネットの葬想式というものにメッセージを送らせて頂いた。

彼女のお芝居、存在感がとても好きで、いつかまたどこかでご一緒したい、できると考えていた。

会ったのは公演時が最後だったし、個人的な会話をした記憶もほぼ無い。

それでも本当に残念で、存在が永遠に失われてしまったことが信じられず、受け止めきれない。

去年、福岡に行った際、別件で問い合わせのLINEをやり取りしたのが最期になってしまった。

本心では自分の公演や食事に誘いたかったのだが、遠回しな連絡をするのみで終わってしまった。

あの時、遠慮せず素直に誘ってみれば良かった。

こんなことを今更ネットにしか書けない自分が情けない。

彼女にしても、俺がいきなり饒舌になって驚いてるかもしれない。

一度ご一緒して、その人も仕事も好きで、また一緒にやりたい、とうっすら思っている人はたくさんいる。

だからと言って、わざわざその気持ちを伝えることは少ないし、用も無く連絡したりしない。

どうにも悲しくやりきれず、夜中まで、葬想式に寄せられた他の方のメッセージを読んだりしていた。

8月6日(火)

9:00起床。晴れ曇り。

79回目の広島原爆忌。

79年。自分が産まれた1982年は終戦、つまり原爆の年から40年も経っていなかったという事実。

AMはバーガーキング、一旦帰宅して午後は御苑で脚色やら書き写しやら諸々作業。

夜はシネリーブル池袋にてNTL『ザ・モーティヴ&ザ・キュー』鑑賞。

これは良かった。

1964年にブロードウェイで上演された「ハムレット」の稽古場についての実話。

演出を担当するベテランシェイクスピア俳優と、ハムレットを演じる映画スター。

二人は意気投合して始まったかと思いきや、案の定どんどんすれ違っていくのだが……。

稽古場だけでなく、主演俳優が妻(エリザベス・テイラー!)と暮らす豪華な家や飲食店など、複数の場所が出てくるが、当たり前だけど転換が実にスムーズ。

対立していた二人が、他に誰もいない稽古場で語り合い、そのままハムレットのモノローグを始める場面は感動的だった。

戯曲の内容や演劇論ではなく、お互いの個人的なことを話すことによって、芝居がグッと良くなるのはあるあるだな。

演劇愛というよりも、演劇人愛、こんな大変で面倒くさいことを続けてしまう人々へのストレートな讃歌。

二人の演技は勿論良かったが、エリザベス・テイラー役の造形や物語上の役割もとても印象的だった。本当にああいう奔放で魅力的な人だったのだろうか(私生活では結婚8回!)

これは生の舞台で観たら本当に感動しただろうな。

俳優役のジョニー・フリン、最近よく見るなと思ったら、Netflixドラマ「リプリー」のディッキーをやった人ではないか。全然印象が違う。

(内容とは関係ないが、映像内で客席の咳が結構聞こえていて、編集で消さないのかと思った。)

8月7日(水)

8:00起床。晴れ。

いつものバーガーキングに来たら水道故障で臨時閉店で、モスへ。

夜は久しぶりに一人で行きつけの焼鳥屋さん。相変わらず美味しい。

帰り道、徒歩数分の距離だが、ずっと雷がゴロゴロ鳴ってて、空一面に稲光がぱちぱちしていて、いつどこに落ちてもおかしくない感じで、あれは怖かった。

雷も多いよなあ。

「THE BEAR」Season1再完走。

流石に忘れていた部分も多かった。

Season3までの展開やキャラクターの未来を知って見るとグッとくる所もたくさんある。

続けてSeason2へ。

8月8日(木)

8:30起床。晴れ曇り。

夜は久しぶりに菊川のStrangerで映画『ゴングなき戦い』鑑賞。

ジョン・ヒューストンの名作とのことで俺は知らなかったが、席は早い段階で完売してた。

何度も書いてるけど、古い名作上映への需要を感じる。

ハンフリー・ボガードとのコンビで、ハリウッド黄金時代のモノクロ映画のイメージが強かったジョン・ヒューストンが、1972年製作とはいえ、こんな「ザ・アメリカン・ニューシネマ」なルック、ムード、演出の映画も撮っていたとは。

若いカップル(男は20代前半のジェフ・ブリッジス!)の演技体や台詞の話し方など、現代の映画と言われても全く違和感無し。

一方で、中年や老年俳優の台詞回しは、どこか40年代のジョン・ヒューストン映画的にも見えて面白かった。

一応ボクサーの映画だが、わかりやすい勝ち負けのプロットなく、人生に対する諦観というか、中年以降の後悔とか無常観とかを何とも言えない味わいで描いていく。

(主演俳優、佇まいや話す内容から40代だと思って観てたら、まさかの20代設定だった。)

ラストの会話も非常に印象的だが、ストーリー的には「え、ここで終わり……?」案件の映画(大好物)でもある。

8月9日(金)

8:00起床。晴れ。

長崎原爆忌。

イスラエル不招待を理由に、平和祈念式典を欠席したG7の大使たち。

アメリカ、お前が来ないのか。と反射的に怒り。

ガザのジェノサイド以降、欧米の、西側の、民主国家の政治家たちの、欺瞞やダブルスタンダードがここまで可視化されるとは。

原爆の慰霊の場すら、大国の思惑で政治利用されてしまう現実。

こういう時、「その怒りを、日本が行った加害にも向けるべき」という意見がセットのように言われるし、それもよくわかる。

自分は、日本の戦争責任に向き合うことと、原爆犠牲者を弔うことは、当然両立すると考える。

両方とも、国や軍の蛮行の犠牲になったのは、無辜の市民だ。

原爆のこととなると、本能的な怒りや恐怖に縛られてしまう。

何も感じないよりはずっと良いが。

有料(100円)だがこのnoteは凄かった。

こういうのを読むと、自分の知識教養文章力の無さを思い知らされます。

午後イチで美容院。

移動して女優さんたちと某企画のミーティング。

楽しいメンツなので、楽しいことになると良いなと。

代々木八幡にて。あの辺り、かなり久しぶりに行ったな。

「令和元年の人生ゲーム」(麻布競馬場)読了。

「THE BEAR」Season2の第6話。

豪華ゲスト勢ぞろい、親族が集まったクリスマスの食卓の混乱を描く伝説のエピソード。

改めて見ても凄かった。

どうやって撮っているのだろう。

8月10日(土)

8:30起床。晴れ。

四谷の休憩所に行って、脚色作業を進める。4時間強。

脚色というのは、場合によっては(その是非はともかく)原作から大きく改変したり新しいアイディアを産み出す必要があり、それはゼロイチの創作に近い。

今回は、原作の小説に描かれているエピソードはそのままに、舞台で上演する為の取捨選択や再構成や肉付けをするスタンスで取り組んでいる。

この場合は、やはり「イチ」はあるので、なんというか、手間はかかったとしてもやるべきこともその素材もはっきりしており、いわゆる産みの苦しみは無い。

それとクオリティとはまた別の話だが、精神的には安定しているし、スケジューリングもしやすく、有り難い。

「THE BEAR」Season2の第7話。

破滅的な6話から一転して、希望の光が差す人気回。

これもやはり沁みた。

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