2024/8/11-8/17
8月11日(日)
8:30起床。晴れ。
昨夜、少し涼しくなったかとクーラーを消したら、暑くて夜中に目が覚めた。
今日は再び暑い予報。
洗濯してバーガーキングで執筆。
図書館に移動したら席が空いてなくて、同じ建物のラウンジへ。
ここはクーラーが無くほぼ外で、ちょっと作業したら暑すぎて息苦しくなり、
再びバーガーキングへ。
「THE BEAR」Season2再完走。やはり素晴らしい。
第9話「オムレット」。レストランのリニューアルオープン前のバタバタした時間の中で、シェフ・シドニーが、妊娠中の同僚(主人公カーミーの姉)ナタリーにオムレツを作ってあげる。作る方も食べる方も嬉しそう。それだけのこの短い場面がなぜか泣ける。
そのまま見たばかりのSeason3へ。
回想が行き来する第1話、Season2までの流れを理解した上で見直すと、これまた良い。
8月12日(月祝)
8:30起床。晴れ。まだまだ暑い。
世間的には三連休の最終日。
自分的にはいつもと何も変わらない。これで良いのだろうか。
オスロコーヒー、図書館、バーガーキングなどを梯子して作業。
帰宅して冷水シャワーを浴びるも、暑すぎて水温も温い。
杉井光「世界でいちばん透きとおった物語」読了。
なるほどそういう仕掛けか!
夜はNetflixで映画『ドミノ』鑑賞。ベン・アフレック演じる刑事が主役のスリラーだが、要は「自分が見ている世界は全て幻覚かもしれない」系のストーリーで、何ともゼロ年代的というか、こういうのはクリストファー・ノーランがもっと大規模で全部やったというか。
そしてこの手の話はマルチバースものと同じく、プロット的には「結局なんでもありじゃん」になってしまうし、つっこみ所も尽きなくなりがち。今回で言うと、催眠術で幻覚を見せられてるはずなのに、その為に何故か書割が用意されていたり。
とは言え、ロバート・ロドリゲスのシャープな演出と、90分というタイトさとで、良い感じのB級映画にはなってた。でも、なんで今更この企画が通ったのだろう?
8月13日(火)
8:00起床。晴れ。
夜中、涼しくなったかとクーラーを消すと、暑くてすぐに目が覚める。
で、日中はとにかく暑い。
夜は「戯曲を稽古して通してみようの会②」の顔合わせ。
その様子はこちらに書きました。

稽古の日記を全員に書いて貰う。それがなぜこんなに面白いのだろう(俺が)。
8月14日(水)
8:30起床。晴れ。
脚色作業は、暫く時間を空けて客観的に読めるように一旦休み。
自分のオリジナルの方をぼんやりと考える。
あとは昼寝して読書。
岸田首相が、総裁選不出馬を表明。
首相就任は2021年10月、三年弱も経ったのか。
こういう時、その間の自分の人生は何も進んでないな、などと考えてしまう。
夜は高校時代の友人Mと新宿三丁目でタイ料理。
お互いの近況、都知事選、日本社会のあれやこれや話す。
これだけ好きに話ができる関係というのはいよいよ貴重だ。
共通の知人ではないが、亡くなってしまった人の話もしようと思っていたのに、しなかったなそういえば。
ビール2杯で酔っ払い、帰宅して何も見れずに爆睡。
本当に弱くなったなあ。
8月15日(木)
8:30起床。晴れ。
「#真相をお話しします」(結城真一郎)読了。
短編集だがどの作品もタイトルからしてアイディアに満ちていて面白かった。
曙橋の本屋で「料理人という仕事」(稲田俊輔)、「働くということ/「能力主義」を超えて」(勅使川原真衣)、「世阿弥最後の花」(藤沢周 )購入。
夜は稽古会。二幕チームの本読み。
台風に備えてそのまま帰宅。
79回目の終戦記念日。
山田風太郎「戦中派不戦日記」の昭和二十年八月一日~十五日までを読み返す。
これは、書かれていたことも、残っていたことも、出版されたことも、全てが奇跡のような本だと思う。
無名時代の山田風太郎(本名・誠也)青年が、綴っていた日記。
それが空襲などで失われることなく残っていた事実。
誰に読ませるでもなく、検閲を恐れるでもなく、作家でも有名人でもない一人の一般人の、「銃後」の本音。
自分はこれを通読して、「戦時下の昭和」を本当の意味でリアルに感じたし、当時の日本の「無辜の民」に対するイメージも改めさせられた。
例えば三月四日、東京大空襲一週間前の日記。
三月四日(日)雪
〇朝七時半警報発令。思わず歓呼の絶叫をあげて奥さんに叱らる。
きょうは数学の試験なり。
〜中略〜
されば、明朝B公来ないかな、などつぶやきて高須さん夫婦を怒らしめたるは昨夜のことなりしに、果然、朝より空襲警報朗々と鳴りわたれり。
B29少数機静岡に入れりと。
つまり、「試験が無くなるように空襲が来ないかなあ」と言っていたわけだ。
こんな台詞は、現在からは逆立ちしても思い浮かばない。
そして八月。
五日(日)晴
〜中略〜
〇岸田国士氏がこの飯田郊外に疎開しているという。それが百姓たちの評判かんばしからずという。なぜかというと闇で米を買うからだという。煙草を吹かしてぶらぶら歩き回るからだという。
まさかの岸田國士先生。
八月六日。
六日(月)晴
〜中略〜
〇ドイツ処分案過酷を極む。トルーマン、チャーチル、スターリンの三人は、人間の馬鹿の標本である。
そう思うと実に人類の滑稽を感じるが、しかし現実に第二のドイツと目されている日本を思うとき、決して笑いごとではない。滑稽なる喜劇であればこそ、敗北せる当事国はいっそう悲惨な、戦慄すべき状態となる。
決して敗けられない。況んや降伏をや。降伏するより全部滅亡した方が、慷慨とか理念とかはさておいて、事実として幸福である。
この時点で広島についての記述は無い。
「降伏するより全部滅亡した方が、慷慨とか理念とかはさておいて、事実として幸福である。」
これを誰に強制されたわけでもなく一学生が綴っている。
七日(火)晴
〜中略〜
〇ヒトラーが生きているという噂が絶えない。
〜中略〜
若し真に生きていて、エルバ島から現れたナポレオンのごとく風を捲いて起つ日があるか、顔を焼いてどこかの巷に潜んでいるか。ーーこれは小説で、彼の死はまちがいはないであろう。
しかし、屍骸が見出されぬ以上、後年のデュマは必ずこれを利用するだろう。とんだヨーロッパの秀頼公だ。
八日(水)晴
〜中略〜
〇広島空襲に関する大本営発表。
来週せる敵は少数機とあり。百機五百機数千機来襲するも、その発表は各地方軍管区に委せて黙せし大本営が、今次少数機の攻撃を愕然として報ぜしは、敵が新型爆弾を使用せるによる。
「相当の損害あり」といい「威力侮るべからざるものあり」とも伝う。曾てなき表現なり。いかなるものなりや。
広島の記述はここで初めて現れる。
九日(木)晴
〜中略〜
〇今、夜十二時十分前だ。
昭和二十年八月九日、運命の日ついに来る。夕のラジオは、ソビエトがついに日本に対し交戦状態に入ったことを通告し、その空軍陸軍が満州進入を開始したと伝えた。
〜中略〜
たしかに日本は打撃された。大きな鈍器に打たれたような感じだ。
しかし、鈍い。一般には十二月八日のような昂奮は認められない。予期せぬことではなかったこと。どんな激情的な事実にも馴れっこになっていること。疲れはてていること。ーーそのためか、みなほとんど動揺しないようだ。「とうとう、やりやがったなあ」と鈍い微笑の顔を見合せるだけである。例の「運命を笑う」笑いにちょっと似ている。
〜中略〜
まさにソ連は日本に強心剤を与えた。ただし二、三日効果が続く程度の。
しかし、問題はそのあとだ。警戒すべきは今の日本人の自棄的な笑いの反動である。恐るべき事態はその後生ずるであろう。
十日(金)晴
〜中略〜
ソ連軍は満ソ国境のさらに数ヵ所から攻撃を開始し、次第に兵力を増強中なりとか、朝鮮東方海面に於てわが輸送船団を攻撃せるソ連機約八十機中十四機を撃墜したとか報じている。
その一方では、大松座できょうと明日、東海林太郎の独唱会があるとかで、十七、八から二十歳前後の娘たち雲集し、行列し、金切声をあげている。
原爆を落とされ、ソ連から侵攻されている十日に、流行歌手の独唱会があり、若い娘たちが金切声をあげていた。
十一日(土)晴
〜中略〜
教場、潮騒のごとく、敵の使用せる新型爆弾の話に満つ。中に「もう駄目だ」「もう長くはねえなあ」という声聞ゆ。そして最後には「もうこうなったら、やりたいことをやっておくんだ」という絶望と自棄と頽廃の極を尽した独白も聞ゆ。
十二日(日)晴後雨
〇蒸暑し。終日鬱々茫々たり。
夕より夜にかけて雷雨ーー「原子爆弾だ!」と叫ぶ者ありて、みな大恐慌大爆笑。
この、国が滅びる予感、ムード。原爆のジョーク。
十三日(月)晴
〜中略〜
〇夕、市より招待されて(先日の疎開事業手伝の慰労のためか)大松座にまた前進座を見る。長十郎、翫右衛門出でず、瀬川菊之丞などが主なるものなり。菊池寛「時の氏神」八木隆一郎「雪国の人」など。さすがに他の田舎回りと異なりてまじめなるところあれど、題材すでに現在と万里のへだてあり。夜驟雨一過。一滴千金。
そして終戦前日。
十四日(火)晴
〜中略〜
日本人はもう三年辛抱すればよいのだ。もう三十六ヵ月、もう一千日ばかり殺し合いに耐えればいいのだ。
敗北した時を思え。
皇室の存続は疑問である。それ以上に、不敗の歴史に瑕をつけ、永遠の未来にその痕跡を残す。さらに百年たってもなお幕末の日本以下の日本たらしむべく徹底した外科的手術が施されるであろう。
敗北直後の状況こそ悲惨である。
吾らの将軍は戦争犯罪者として断頭台上に送られるであろう。数百万の兵士は、敵の復興工事に奴隷として強制就役せしめられるであろう。婦女子は無数に姦せられるであろう。軍備はすべて解除され、工業はことごとく破壊されるであろう。
勲章も、国債も、あらゆる国家的契約も、憲法も法律もことごとく一片の反古と化し、一個の玩具と変ずるであろう。
〜中略〜
実に想像を絶する地獄が、狭い日本に現出することは火を見るよりもあきらかである。
これを思えば、あと三年の辛抱が何であろうか? 誇りを以て熱汗をしぼる。三十六ヵ月が何であろうか?
原子爆弾に対しては、徹底的に山岳森林に全国民を分散し、死物狂いで深い壕を掘ればよい。
〜中略〜
もしアメリカ軍百万本土に上陸し来れば、これぞ全日本人の熱願する神機ではないか。一億がそののどぶえに喰いついても、これを日本の土の餌食たらしめる。
いまや米本土に日章旗のひるがえるなどは夢想としても、この上で和議成れば、日本人の誇りは全地球上にとどろき、日本の歴史は子孫の胸に、また外人の心に、それぞれ刻印を打たずには置くまい。
あと千日耐えよ。血と涙にむせびつつも耐えよ。
〜中略〜
食いとめなければならない。日本人をしてなお戦争を継続させなければならない。
それはついに不可能のことであろうか?
僕はそうは思わない。
それは出来る。僕は日本人を信頼する。
これが当時23歳の、全くの無名のインテリ学生が、個人的に書き残していた日記なのだ。
その五ヵ月前の日記で「試験が嫌だから空襲来ないかな」などと記していた、実に若者らしい若者の本音だ。
繰り返すが、誰に読ませるつもりもなく、検閲を恐れるでもなく、綴っていた文章。
ちなみに山田青年は、この時点で決して軍国主義的な思想の持主ではない。寧ろひねくれた物の見方をする人物であり、政府、軍、国民に対して批判的なことも散々書いている。
そして戦後には、娯楽小説でベストセラー作家となり、軽妙なエッセイも書いた人間が、「あと千日耐えよ。血と涙にむせびつつも耐えよ。」と本気で思っていたのだ。
そして学友たちとの会話が続く。
〇「何とかできないか」
と、安西がいう。昨夜のことだ。
〜中略〜
目的は、衰死の日本へのカンフル注射である。戦闘継続への劇薬投与である。そんなことが、この信濃の山中にいる学生に出来るか。それを疑ってはいられない。やらねばならない。二人は話した。
〜中略〜
町々に貼り出す檄文まで頭の中で考える。
「市民に告ぐ。
後に続くを信ず。
幾万の若き特攻隊はかく絶叫して天翔けていった。
諸君はこの殉忠の青年達を裏切るつもりか」
〜中略〜
「日本人が敵に降伏する?
御冗談でしょう。日本人は玉砕は知っているが、降伏などはどんなものか知らないのだ。 原子爆弾などにおったまげていたら屁もひれない。
山に入れ、壕を掘れ。徹底的に分散疎開せよ、ただ頑張るのだ。親が死んでも子が死んでも、歯を食いしばって戦うのだ。
そのときこそ大和魂が敵を戦慄せしめ、敵を圧倒するであろう」
しかし、もう一人の冷静な友人との対話により、動揺する。
ーー日本に戦争を続けさせる、などという巨大な運動の、第一歩にも入らないところで、すでに一友人の参加で動揺している。いやになりかかっている。高田の理屈よりも、そんな自分に何が出来ようか。
〜中略〜
ーー熱狂して、一夜魔に憑かれたように国家のことを友と語り合ったことがあった。そういう追憶だけが青春の記念として残るに過ぎないのだろうか?
僕は、悲しいような、弱々しいような、嘲笑うような微笑をもういちど浮かべて、ついに泥のような眠りに落ちた。
〇午前高安外科。安西コクリコクリと眠っている。
〇飯田の町に鬼気が漂いはじめた。これは半ば取壊した疎開の建物から発するものに相違ない。しかし飯田全市民、二里外に退去せよという命令のために、そうでない町にも名状しがたい鬼気が流れている。灯のない町に凄味のある半月だけが美しく上る。
十四日の記述だけで二十ページ以上に及ぶ。
初めてこの日記を読んだ時は、その経験したことのない「臨場感」に慄いたし、不謹慎だが「この文章は一体、どのように八月十五日を描くんだ……?」と思い、頁をめくる手が止まらなくもなってしまった。
その、十五日の記述は、
十五日(水)炎天
〇帝国ツイニ敵に屈ス。
この一行のみ。
8月16日(金)
9:30起床。起きた段階では曇りだが台風予報。
朝から何だか体が怠い。そういえば昨日は鼻水が出ていた。
熱はなさそうだがこれは風邪か。
とりあえずいつものバーガーキングに行ったら台風の為臨時休業。
で、オスロコーヒーへ。
作業している間に雨が強くなる。
やはり体調が思わしくないので、OS1や栄養ドリンクを買い込み、午後は家でおとなしくしていた。
どうせ台風で出かけるのは無理だったし。
読書をするにも集中できず、横になってTwitterを見てウトウトして。
怠さだけで、他に症状が無いのは幸い。
気になっていたが完売だった公演、台風により空席で当日券が出ていたが、天候よりも体調不良により断念。
夜になって例のごとくドラマを何話か見て、早めに就寝。
台風は結局、少なくとも新宿区は直撃せず。
8月17日(土)
9:30起床。晴れ。37度予報。台風一過が過ぎるよ。
体調不良のせいか、いつにも増して嫌な夢や怖い夢を見て何度も目が覚めた。
詳しくは覚えていないが、親戚の家に行ったら、洗面所の排水口が詰まっていて、汚い水でプールみたいになってて胸くらいまで浸かってしまう……という奴は気持ち悪かった。
ひとまず洗濯。
昨日休んだおかげか、体調は復活したようなそうでもないような。
時折怠さは感じるが、バーガーキング、図書館と移動して様子見しながら作業。
夜は「THE BEAR」Season3の第8話、出産に臨む娘と立ち会う母、ほとんどその二人の表情だけの圧巻の40分を再見。マジでこんなのどうやって撮ってるんだろう。
アマプラで映画『ロードハウス/孤独の街』観るが、演出が肌に合わず途中で止めてしまった。
何とも締りのない日々だ。
すでに登録済みの方は こちら