2025/2/23-3/1

第73号
上野友之 2025.03.02
誰でも

2月23日(日)

7:45起床。晴れ。

「高尾山へ」改稿作業を続ける。

Netflixで後追いで見始めたタイプロ(timelesz project)完走。

オーディション番組に関心がないし、旧ジャニーズグループで全員名前がわかるのも嵐くらいまでだが、あまりの評判で。

菊池-寺西の同期コンビのファンになった。

「長い夜の果てに」(バーバラ・ヴァイン/榊優子 訳)読了。

ヴァインはルース・レンデルの別名義。レンデルも読むのは多分初めて。

どこかで推薦されているのを見てから長らくリストに入れており、先日ブックオフで見つけ購入。

殺人が絡む恋愛ミステリーなのだが、核心に至るまでの語りが長く、読むのに何日もかかってしまった。

視点が変わって「実はこの人物は〜」と真相が明らかになっていく系。

しかし初めて視点が変わるのがようやく400ページ超。

この手法を効果的に使ったサスペンスは数多とあり、他に比すると正直物足りず、驚きも少なかった。

ミステリーとして読むよりは、心理小説として読む方が良かったのかも。

最近の自分は、ミステリーには冒頭からグイグイ引っ張って欲しいようだ。

池上冬樹さんの解説でも

「ほかのヴァイン/レンデル作品同様、物語は容易に事件の核心部へとはむかわない。」

「おそらく“もどかしい“とか、“まどろっこしい”とか、そう不満を述べる人がいるだろう。」

「そういう人は、本書の良き読者ではないだろう。性急な物語の展開を期待するなら、近年のレンデル/ヴァインを手にとるべきではない。」

と書いてあり、すみませんでしたという気持ち。

トマス・H・クックと同じ感じかな。

雰囲気は寧ろ好きだったので、そう味わうものと思って他のも読んでみたい。

2月24日(月祝)

寝坊して9:30起床。晴れ。

引き続き改稿を進める。

シーン並びの風通しというか、場面場面の繋がりはスムーズに流れ始めている、気はしている。

極地的に狭くなっていた視野が、物語全体を俯瞰して見られるようになった、気はしている。

「ホワイト・ロータス」Season3視聴開始。今回の舞台はタイ。

日本でロケの可能性もあったそうで、この底意地の悪いリゾートドラマが日本をどう描くのか見てみたかった。

2月25日(火)

4時台に目が覚めたので、深夜の暗闇の中で脚本を読み直してみる。

いかにクリアな頭で、尚且つ新鮮な目で読めるかが肝だ。

二度寝して8:00起床。晴れ。

四谷の休憩所に行って改稿の続き。

夜は久しぶりのNさんといつもの焼鳥屋さん。

楽しかった。

2月26日(水)

5:30起床。晴れ。17℃予報。ネットもラジオも一気に「暖かくなって春が来ます」感を出してる。春一番はまだだよね。

目が覚めてしまったのでそのまま改稿。

やはり起きてすぐの頭で脚本を読み直すのは良いかも。

午前中は千駄ヶ谷ドトールで続きを。

帰宅して残りも進めて、ある程度まとめられたかな。

明日細かい修正もして仕上げよう。

新しく買ったコードレスの加湿器、電源タップを入れるケース、共に良い感じ。

2月27日(木)

6:30起床。晴れ。今日も16℃予報。週末はもっと暖かくなり、来週また雪が降るほど寒いらしい。なんでだよ!

渋谷のWHITE CINE QUINTOにて映画『リアル・ペイン ~心の旅~』鑑賞。

従兄弟同士のユダヤ系中年男性二人が、祖母の死を機にポーランドツアーに参加し、祖母の生家を訪れるというロードムービー。

俗っぽいコメディでありながら、ジェノサイドの記憶継承というテーマも扱い、しかも見事に両立している。

寧ろ、世界には個人の卑近な悩みや日常と悲惨な虐殺や人権侵害が常に同時に存在し続けている現実そのものを、静かに突きつけてくる。

強制収容所跡を訪れる場面では、劇中の台詞通り「その場が語るもの」に、無音の演出の中でただ恐れ慄く。

その前後では、登場人物たちはホテルでマリファナを吸う旅行者に過ぎない。

鑑賞前から何となく想像がついた気になって先延ばしにしてたけど、いやこれはちゃんと観ておいて非常に良かった。

ジェシー・アイゼンバーグ、脚本監督主演スタイルも、テンポ良い語りも、早口でまくし立てるのも、ウディ・アレン後継の第一人者では。ウディより色んな意味で真面目だけど。

一つの台詞、カット、動きで人物や状況を的確に説明していく脚本と演出は監督二作目にして本当にお見事。

HMV&BOOKS SHIBUYAに寄って、

「ほんとうの名前は教えない」(アシュリィ・エルストン/法村里絵 訳)、

「偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理」(降田天)、

「今宵も喫茶ドードーのキッチンで。」(標野凪)購入。   

後半二冊はジャケ買い。

脚本の参考になるかとU-NEXTで『悲しみが乾くまで』鑑賞。

2007年製作、ハル・ベリーとベニチオ・デル・トロ共演のアメリカ映画。

ハル・ベリー最近見ないな。

突然殺された男性の妻と子供たちと、彼の親友(依存症)が悲しみを共有する…というシンプルなストーリー。

約20年前のベニトロがまだ「演技」しようとしてるのが新鮮。役柄も一般人。

最近のベニトロはもはや存在感、いるだけで成立の感があり、裏社会の人にしか見えない。

手持ち風の撮影、囁きがちの台詞、細かいカット割、フィルムの質感など何ともゼロ年代のミニシアター映画で懐かしい。

監督はデンマーク女性のスサンネ・ビア。これが初の英語作品だったとのこと。

どこかで聞いたと思ったら、先日見たNetflixドラマ「理想のふたり」の監督。

でもあのお洒落ミステリーとは全然違う作風。

合間に改稿を進め、「高尾山へ」第二稿をメンバーに送信。

ある程度まとまった気はするけどどうか。

ジーン・ハックマンの訃報。

自分が子供の頃からゼロ年代まで、面白い映画には全部出てるんじゃないかというご活躍だった。

シリアスドラマ、アクション、ポリティカルスリラー、そしてコメディまで。

好きな映画はたくさんあるが、パッと浮かんでくるのは『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』、ウディ・アレンと唯一組んだ地味な『私の中のもうひとりの私』。

引退され20年。一作くらい復活して欲しかった気もするけど、95歳。お疲れ様でした。

と思ったら、まだ60代の妻と犬と共に遺体で発見されたとのこと。

大往生ではなく、何かあったのか。

2月28日(金)

5:30起床。晴れ。

ギヨーム・ミュッソ「ブルックリンの少女」(吉田恒雄 訳)読了。

ミュッソは初めて読むが、フランスではルメートル以上のベストセラー作家らしい。

日本だと東野圭吾さんのようなポジションかな。

最近の西欧ミステリは子供や女性の拉致監禁拷問強姦という陰惨極まりない事件が起きることが多い。これ以上に酷いことがあるだろうかと気が滅入る。

とは言えやはり面白く、強引な部分も含め流石のページターナー。

アフォリズム的な文章が多くそれも好み。

怒りが湧きあがってきたのだ。意地の悪すぎる人生。カードが配られるとき、一部の者があまりに不利な手札を持たされる。その不公平に対する憤りで、彼の胸は燃えあがっていた。
「ギヨーム・ミュッソ「ブルックリンの少女」(吉田恒雄 訳)」
ああいうのは人生で一時期しかありえないが、当人がその時点でその価値に気づくことは滅多にない。人生の難しさのひとつだ。
同上
たしかに、人は人の最悪の捕食者だ。人は人に対して戦争をする。人は自身の奥底に、暴力と攻撃性、死の衝動、同類を支配し屈従させたいという意志を潜ませている。
同上
胸を刺すようなイメージ、わたしは長いことそのせいでカメラが好きになれなかった。【中略】引き金が二段階になった銃であるかのように、弾丸は数年後にしか的に当たらず、しかも的をはずすことがないのだ。というのも、さまざまな出来事のなかで、失われた純真さや沈黙させられた愛など、過去にまつわるものほど強靭なものはない。つかめなかったチャンスの思い出、見逃してしまった幸運の記憶ほど辛いことはない。
同上

あと、パリなのに「フランクリン・ルーズベルト通り」という道があるのを知った。

新宿ピカデリーにて『ANORA アノーラ』鑑賞。

今年一番楽しみだった映画を公開初日に。(もう一つは『サブスタンス』。) 

「アメリカのストリッパーがロシア大富豪の御曹司に求婚される」という設定だけ知って観る。

ファーストカットから一瞬で映画の空気に引き込むかっこよさ。

ああいうセンスは日本ではなかなかない。(O監督あたりが真似してダサくなりそう。)

序盤はひたすら享楽的な時間が続くが、中盤からガラッと変わる。

結果、華やかでそしてロマンティックな宣伝イメージとはだいぶ異なる。

その印象差も含め効果的な宣伝だと思う。

数週間にわたる煌びやかな快楽の日々から、一転して半日間のどんくさい追跡劇へ。

他のショーン・ベイカー脚本同様、話がどこに進むのか全く想像できない。

というか先の展開を読むのも忘れ、ただその場に放り出される感じが気持ち良い。

そして笑える。どんなにみじめなことが起きても、陰惨な展開にはならないという安心感。

後半は個人的に好きな「一夜もの」でもある。

編集も上手いな〜と思ったらそれもショーン・ベイカー。

自分が男だからか、若者たちの序盤の軽薄なパーティー&セックス三昧に「馬鹿だな」と思いつつ羨望、憧憬も正直感じた。

一方、後半の「急速に夢が覚める」感もよくわかる。

そして、主にセックスにより深く繋がった関係が、親的な存在の介入によって一気に現実に引き戻されるリアリティ。

ポスターでは「王子様」位置の御曹司=バカ息子が、後半はただの「女を買った男」に成り下がるのも、あまりに身も蓋もなくて良い。(顔は中川大志さんみたいで可愛い。)

アノーラのラストの行動は、敢えて言うならMale gazeな気もしたが、冒頭の狂騒とは全く異なる静寂で終わる余韻に浸る。

注文していた新しいフライパンと、鼻うがい用のハナクリーンという商品が届いた。

花粉症もあり例年3月4月は体調を崩すので、今年はよりケアしていきたい。

3月1日(土)

6:00起床。晴れ。

米ウ首脳会談決裂のニュースが駆け巡っている。

トランプやバンス(やイーロン・マスク)にある種の思惑や戦略があったとしても、言動が常軌を逸しているのは間違いない。

アメリカの政府や公的機関の裏方たちはどんな動きをしているのか。

いつものように数年後には、アメリカ製作のエンタメで現在の混乱の裏側が、CIAオフィサー辺りを主人公に描かれるのだろうか。そんな悠長なことは言ってられないのだが。

などと思いながら、まさにCIA オフィサーが主人公のドラマ「ザ・エージェンシー」を見ている。

ウクライナにおけるCIAの機密作戦が本筋に絡んでくるのだが、2025年3月現在から見ると前提から変わってくるのかもしれないな。

気温がどんどん上がり、日中は暖房いらず。

みのもんたさんの訃報。

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